「ちょ、ちょっと響弥くん!」
「悪い、綾音。
俺、どう頑張ってもコイツとは仲良くできそうにねぇわ。」
そう言って
忌々しそうにジャケットを手にとって立ち上がると
「俺、帰る。」
キョウちゃんはそんな悪魔な一言を言い放って、玄関に向かってズカズカと歩き出してしまった。
「あ……。」
落ち込む私に
怒るキョウちゃん
オロオロと二人の顔を見比べていた綾音に
「早く、追いかけて。
私のことは……どうでもいいから。」
そう声をかけると、綾音は“ゴメン”と呟いて
「待って、響弥くん!」
彼の背中を追いかけていった。
――なにやってるんだろう、私
大事な友達に気を使わせて、キョウちゃんには嫌な想いさせて……
もうこのまま消えちゃいたい
こんな気持ちを抱えたまんま、この場所にいるなんて耐えられない。