「お!トリッパ超うめぇ!」
「ほんと?
実は昨日から仕込んでたんだよね~。」
「ちょい味濃いめだけど、ワインと食べるとちょうどいいな。」
「でしょ?
体にはよくないけど、これくらいの塩加減がちょうどいいのよね~。」
嬉しそうに
仲よさそうに
私の存在なんて気にも留めずに、楽しそうに会話をするキョウちゃんと綾音。
「ほら、美織もどんどん食べてね。
あんた、スパニッシュオムレツ好きでしょ?」
そう言って
綾音は私にチーズ入りのスパニッシュオムレツを取り分けてくれる。
「あ、ありがと。」
「甘いの飲みたければ冷蔵庫にサングリアもあるから、遠慮なく言いなさいよ?」
「うん…そうする……。」
優しく
いつもみたいに、私に接してくれる綾音。
綾音は何も悪くない。何も私にひどいことなんてしていないし、意地悪なことなんて、何一つしていないのに
「はい、響弥君にもオムレツあげる。」
「げぇ。
俺こういうお子ちゃまな料理苦手なんだけど。」
「わがまま言わないの。
とりあえず食べるだけ食べてみてよ。」
なんだか胸の奥がムカムカする。
当たり前のようにキョウちゃんに触れる、綾音にとてもイライラしてしまう。