どうしてキョウちゃんがあんなことをしたのか
なんであんなことになったのか
私はいまだに理由がわからないでいる。
なんとなく。なんとなく思い当たる理由はあるけれど、確かめられないまま8年もの時間が過ぎてしまった。
私とキョウちゃん
こんがらがったまんまの、複雑な関係
綾音の望む理想の関係に、私たちは本当になれるんだろうか……
「さっ!ワインの準備は万端ね!!
じゃ、乾杯するわよ~!!」
「ハイハイ。
綾音は言ったら聞かない性格だからな。
あきらめて乾杯してやるよ。」
鼻息を荒くして、準備万端の綾音に
呆れ顔のキョウちゃんが、ゆっくりとグラスを手に持つ。
そんな二人に促されるまま、私はグラスを手に持ち
「かんぱーーーい!!」
三人で乾杯をする。
キョウちゃんが持ってきたワインはスペインのリオハワイン
濃い赤が特徴のリオハワインはどっしりとしていて、飲みごたえのある、私も大好きなワイン。
「うーん、おいしい!
ほら、響弥くん食べて食べて!
このワインにはぴったりの料理だと思うわよ!」
「綾音、うるさい。
俺には俺のペースがあんだから、ゆっくり食べさせろ。」
チャキチャキと底抜けに明るい綾音に、終始ダルそうなキョウちゃん。
そんな二人を見ながら
私はおかしな気持ちを抱えずにはいられなかった。