「響弥くんは私の大好きなカレシ。美織は私の大事な親友。あんな険悪な雰囲気で別れたまんまなのは、なんか気持ち悪かったのよね。」


男前な綾音は悪びれもせず
こんなセリフを口にする。




その言葉に私はさらに“どうしよう”が加速する。




はじめまして、だなんて言ったけれど本当は小さなころからいつも一緒だったキョウちゃん。それに今は依頼人とマネージャーという形で仕事をしている、キョウちゃん。



しかも……
私とキョウちゃんには忘れられない、あの雨の夜がある。




その時には、私はまだ綾音と友達ではなく
綾音もキョウちゃんと付き合っていたわけではないけれど、なんだか綾音を裏切っているような感覚に襲われてしまう。




綾音が大好きだと言ったキョウちゃんと私は、大きな秘密を抱えている。



絶対に言えない
綾音だけには絶対に言えない、大きな秘密を。