すると彼はひどく驚いた顔をしたけれど


「おう。よろしく。」


そう言って
コーヒーに口をつけた。






それから私はキョウちゃんの置かれている状況を確認して、オファーのあった企業のリサーチをした。


キョウちゃんに声をかけてくれる企業はどこも大手で、メモを取りながら目を白黒させていたけれど


「キョウちゃんにとって一番いい就職先を考えてみるから、待っててね。」


「おう。頼むわ。」


そう言って、私たちは別れた。






事務所の玄関まで見送った私をニヤニヤしながら仁くんは見つめていたけれど


「今日は再会に乾杯って感じ?」


「茶化さないでよ。
ドッと疲れたわ。家に帰って早くお風呂に入って寝たい気分!!」



私は仁くんの肩を叩きながらハァーと盛大なため息を吐く。





カツカツとヒールの音をたてながら、事務所に戻る私を見て


「……不器用男に鈍感女か……。
ほんと、見ててイライラするなぁ。」


仁くんはニコニコしながら何かをポツリと呟いた。