満足そうなパパに
苦虫をつぶしたような表情のキョウちゃん。


キョウちゃんは下唇をグゥッと噛んだ後


「キョウちゃんって言うな!!バカ慎!!」


キーッと怒りながら、パパの手をバシンと振り払う。




「えー?だってオマエお子ちゃまなんだもん。上手くいったからよかったようなものの、正攻法で行けばこのオイシイ話を確実に蹴っただろ。」


「う、うぅ…!!」


「そういうとこが藤堂に似てガキなんだよ。ちょっとは大人の算段ってヤツも覚えなきゃ、人生渡って行けないぞ??キョ・ウ・ちゃ・ん??」



「う、うるさい!!うるさいぞ、慎!!
どうでもいいけど、キョウちゃんって言うなーーーっ!!」





完全にパパのオモチャと化して
ピーピー・ワーワーと喚き散らす、キョウちゃん。





そんなキョウちゃんとパパのやり取りを呆然としたまま見つめていると



「…Kyouya。」


「…はぁっ?なんだよ、オッサン。」


「2週間後、成田で待ってます。」


「え、えぇ!!?」


「ちょうど2週間後からフロリダで世界水泳に向けての強化練習が始まるんですよ。キミにはそこに参加してもらいたい。」



カーターコーチはニッコリとほほ笑みながら、こんな爆弾を私たちに投げつける。