「タケシにはね??挑発して怒らせて、Kyouyaのプライドを刺激すれば絶対にうまくいくから頑張れって…そう言われたんです。」


そう言って
カーターコーチはイタズラっぽくウィンクをする。




「え?え?えぇ!?」




混乱するキョウちゃんにパパがゆっくり近づくと


「郷田先生からの最後のプレゼントだ。」


パパはキョウちゃんの肩を叩く。




「…え??」


「引退するにはまだ早い。
日本で泳げないなら、オマエはアメリカで可能性を試せ…だそうだ。」





そこまで言われて
私はやっと郷田先生のお名前がタケシだったことを思いだす。



そうか
カーターコーチが言っていた“タケシ”って、郷田先生のことだったんだ……。





やっと繋がった点と点
カーターコーチの言葉にやっと納得がいって、ウンウンと頷くと



「な、なんだそりゃ!!
ハメたのか!?
慎もおっさんもジャイアンも、みんな揃ってこの俺をハメたのかーっ!!?」



キョウちゃんはプルプル震えながら、鬼のような形相でパパをギロリと睨みつける。



そんなキョウちゃんを見て愉快そうにニッコリとほほ笑むと


「だってさー?
そうでもしなきゃボクの大事なキョウちゃんは、アメリカに行ってくれなかっただろ~??哀しいけれどコレは必要悪だよ、必要悪っ☆」


そう言って、パパはキョウちゃんの頭をヨシヨシと撫でる。