冷静に
でも強い瞳で私の行動を制止するパパ。



――でも…このままじゃケンカになっちゃう!!



パパには足止めをされている。
でも、目の前で起こっているいさかいを放っておくことなんて、とてもできない。




そう思って
何とかその制止を振り切ろうと力を入れた時



「行ってやる。そこまで言うなら行ってやる!!」


「…本気ですか??
甘い世界ではないですよ??」


「アホか!そんなの100も承知だっつーの!!そこまで言われて引いたら男がすたるわ!!
やってやる!俺は来季からフロリダ大学で暴れてやる!!!」




キョウちゃんはビシッとカーターコーチを指さしながら、こんな重大事項を叫び始める。




――留学……???

私の側からまたいなくなっちゃうの??
そんな大事なこと…どうしてこんな風に決めちゃうの?


キョウちゃんはさみしくないの??
やっと一緒にいられるようになったのに。
やっと気持ちが通じ合えたのに、たった2か月でキョウちゃんは私から離れて行っちゃうの??


平気なの??
私なんていなくても平気だって…そういうことなの??




突然降ってわいた、キョウちゃんの留学事件。





呆然とする私に
息巻くキョウちゃん


それに……何故か満足そうな表情で安堵の笑みを浮かべる、パパとカーターコーチ。





呆然として
あまりにショックで一点しか見つめられなくなっている私をよそに


「よかった。」


「…はぁ??」


「タケシに言われたんですよ。
Kyouyaをフロリダに連れて行きたいなら冷静に話し合っちゃダメだぞ、ってね??」


カーターコーチはこんな言葉を呟いて、フフッと柔らかに微笑む。