世界中から留学生が押し寄せて、そのプールの中にいるほとんどが各国のナショナルチームの選手だという噂のフロリダ大学水泳部。


大学生はもちろん、社会人も多数所属してるって聞くけど…キョウちゃんはどうするんだろう。


そうっと彼の表情を盗み見ると彼はきりりとした表情で、カーターコーチの言葉を聞いている。




そしてカーターコーチと無言で見つめ合って。少しだけ私の方を振り返ると


「少し…時間をください。」


「What!?」


「俺はこの状況に少なからず満足してるんです。水泳ともいい距離で付き合えていて、今は泳ぐことが何より楽しい。引退したからこそ気づいたことがたくさんありました。もう一度あの世界に戻ったら……得るものもあるけれど、失う小さな幸せもあります。少し俺に考える時間をくれませんか…??」



少しうつむき加減に
キョウちゃんはカーターコーチにそう返す。




――よかった……。


アスリートとして復活するためには、この申し出を受けるべきだ、と言うことはよくわかる。だけど……恋人としては複雑だ。


すごく好き。
キョウちゃんのコトがすごく好きで大切だから、離れたくない。離れていた分、傍にいたいという気持ちが強い。



8年間、無関係を装って
再会してからはケンカばっかり



やっと気持ちが通じた今、キョウちゃんと離れ離れになんてなりたくない。


その気持ちはもしかしたらキョウちゃんも同じだったのかもしれない。