その指の先には
苦しそうな表情を浮かべて沈黙を続けている、キョウちゃんの姿があった。



マイクを握りしめたまま
俯き加減に、押し黙るキョウちゃん。





「…大丈夫。
アイツはもう暴れるだけしか能のないガキじゃない。」


「…え??」


「響弥はちゃんと守るべきモノを手に入れたからね。愛してほしくて傷つける、そんなバカなことはもうしないよ。」



そう言って
仁くんは腕を降ろすと
ニッコリとほほ笑む。




「結局…こうなったのはアイツのせいだ。美織が気にすることじゃない。」


「…仁くん。」


「自分のケツは自分で拭く。
それくらいしてもらわないと、大事な妹は任せられない。」




仁くんは私の肩から手を降ろすと
私の真横に立って、厳しい瞳でキョウちゃんを見つめる。



そしてしばらくキョウちゃんを睨みつけた後
私を振り返って柔らかに微笑むと



「美織、オマエが響弥に何をされたのかは知らないけれど、それはオマエの尊厳を傷つけるものでも貶めるものでも何でもない。
美織は今のままで十分、俺の自慢の妹。
だから…他人からどう見られようと、どう思われようと、気にする必要なんて何一つないからね?」




仁くんは私の頭をヨシヨシと撫でる。



温かくて柔らかい
春の陽だまりのような仁くんの微笑みと彼の紳士的な行動にココロの中がホッコリと温かくなる。



そして私が少し落ち着いたのを確認すると



「大丈夫。
何が起こっても俺は美織の味方だよ??」



仁くんはギュウッと私の手を握る。