そんな決意をしながら
会見場を私は見つめる。



息が詰まるほど張りつめた緊張感の中で、キョウちゃんは頑張ってる。




――頑張って!キョウちゃん。


これが終わったら、また泳ごう??
公式のレースで泳ぐには少し時間がかかるかもしれないけど、ゆっくり二人で頑張ろう??


キョウちゃんがアスリートでいてくれる限り
私はずーっとしつこくキョウちゃんを応援するんだからっ!



――頑張れ、キョウちゃん!




両手を胸の近くでグッと握りしめながら
必死に彼を応援していると



「俺は後悔していません。
あの日の自分を後悔していない。
だけど……関係者の皆様、応援してくれたファンの皆様、そして今まで自分を支え続けてくれた多くの皆様にご迷惑をかけたことは事実です。」



キョウちゃんはそう言葉を続ける。




「その責任は…取らなくてはなりません。」




そしてマイクを握りしめたまんま、黙り込む。




10秒

20秒…




マイクを握りしめたまま
苦しそうに俯(ウツム)き加減で黙りこくる、キョウちゃん。





その姿に…
私は何かイヤな予感が胸をよぎる。



『俺は真実を話せとアイツに言った。響弥にとっては自分を助けてくれるいい社長でも……美織にとっては悪い父親以外の何物でもないな…。』


昨日オフィスで言っていた
パパの言葉が胸をよぎる。






キョウちゃんはあの日のコトを言うつもり…なの…??




自分の選手生命を守るために
どうしてあんなことをしたのか言うつもり??



キラとの取引のコトを言うつもりなの??



あの雨の日のコトを…こんなに大勢の前で言うつもりなの…!!?