自分以外全員が敵に見える、そんな恐ろしい状況の中でキョウちゃんは頑張ってる。



そんなカレがいじらしくて泣けてくる。
何物にも負けない、彼を誰より誇らしく思ってる。



彼があのレースを放棄した理由は…きっと私。



私が彼を追い込んで
私が彼をこの場所に呼び寄せた。




全部、全部
こんなことになってしまったのは私のせい――……



ごめん
ごめんね、キョウちゃん。



心苦しくないのか、と言われればウソになる。



だって……
彼は私を守るためにあのレースを放棄したんだもん。



私を守るためだけに、キョウちゃんは全部を捨てた。



それが心苦しくないかと聞かれたら…答えはもちろんNOに決まってる。






だけど…悲しんでばかりいて、悲観的な考えばかりしていたら事態はちっとも前に進まない。



起こってしまったコトは起こってしまったコトで仕方ない。大事なのは『コレからどうするか』だ。



失敗は怖くない。
失敗なんて誰だってする。
失敗のない成功なんてありえない。



大事なのはその失敗からどう立ち直るか、だもん。





私は…キョウちゃんを全力で支えるんだ。


彼がまた再びあの世界に帰ってこれるように、またあの世界で戦えるように、私は彼を支え続けるって決めたんだ。






泳いでるカレが好きだから
カレが奏でる水の音が好きだから
彼が輝く瞬間を見たいから


私はずっとキョウちゃんを支えていくんだ。





それがきっと…
あの日、全力で私を守ってくれたキョウちゃんにできる、唯一の恩返しだと思うから。