ライトの光る真っ白な部屋に二人が進んでいった瞬間


パシャパシャ!!

パシャパシャ!!


けたたましくシャッター音が鳴り響き、ありえない量のフラッシュが飛び始める。





――う、うわ…。





集まった記者の数
集まったカメラの数がキョウちゃんの人気の証。


そしてこの事件にどれだけ世間の皆様が注目しているか、の証だ。



普通の人ならまず怯むその状況
だけどキョウちゃんは顔色一つ変えずに、まっすぐに会見場目指して歩いていく。




そして会見予定のテーブルの前に着くと、まっすぐに前を見据えてキョウちゃんはマイクを手に取る。



「このたびはお忙しい中お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。また、俺の犯した行動のせいで水泳連盟の皆様、選手の皆様、そして競泳に携わるすべての皆様に多大なご心労とご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。
本当にすみませんでした。」


そう言ってキョウちゃんとパパが深々とお辞儀をした瞬間


けたたましいシャッター音が会場中を埋め尽くす。




非日常の、この空間
何が起こるか、何が飛び出すのかわからない緊迫した空気の中で、キョウちゃんは必死に一人で耐えている。




――頑張れ…、頑張れ…。




私はそんなキョウちゃんにエールを送ることぐらいしかできないけれど、あの場所で踏ん張っているキョウちゃんを瞬き一つせずに見つめている。





深々とお辞儀をした後、顔を上げると


「俺は一人で考えました。あの時どうすることが正解だったのか、間違いだったのか。もう一度時間を巻き戻せるなら、俺はあの時どうするだろう…と。
だけど何度考えても俺はあの時と同じ答えに行き着きます。」


キョウちゃんは静かにこう語る。



「アスリートとしては許されざる行為です。恥ずべき行為です。
ですが…それが分かっていても。それがどんなに非難されることであったとしても、後ろ指刺されることであったとしても…俺はきっと同じことをしたでしょう。
どんなに時間を戻せたとしても…同じことです。」





光るフラッシュ
鳴るシャッター音


まっすぐに迷いなく喋るキョウちゃんに
顔をしかめる記者の人たち


そして表情一つ変えないパパ。