「ごめん……。」


俺にはそれしか言えなかった。




期間限定、期限付きの恋だと言い切っていたとはいえ、綾音を傷つけてしまったことには変わりない。




まさか綾音の大切な親友と、俺が求めていた女が同一人物だったなんて夢にも思わなかった。





ごめん、綾音。
こんな風にアンタを傷つける気も、さよならを告げる気も、全くなかったんだけど…な。






綾音の気持ちを想うと申し訳なさでいっぱいになって、なんとも言えずいたたまれない。


俺の中に美織さえいなければ。あのクソオンナさえいなければ、俺は目の前にいるこの人に恋をして、この人を大事にできたに違いないから。



「ごめん、綾音……」



そう言うと



「バカね。
どうしてごめんだなんて言うの?」



綾音は俺の頬に触れたまま、にっこりと笑う。



「え……??」


その表情に驚いて彼女の顔をしっかり見ると




「気持ちは理性じゃ動かせない。
計算できる恋なんて、そんなの恋じゃないと私は思うの。響弥くん、恋ってね??頭じゃ動かせないから、恋なのよ。」


「……綾音……。」


「理性じゃ制御できない、ひどく狂暴で、ひどく強大な気持ちが恋なのよ。だから……ね?ゴメンだなんて、言わなくていいの。私と恋が出来なかったのは、キミが悪い訳じゃない。」