まるでエスパーのように、俺の心の中を覗いたかのような一言に思わず絶句。


綾音はかわいいし
気もきくし
料理もうまいし
男をたててくれるし


普通に出会っていたら、特Aランクのイイオンナだと思う。






かわいくて
かっこよくて
潔い



そんな綾音に惹かれなかったかと言われれば嘘になる。





綾音と一緒にいた時間は楽しかったし、エキサイティングだった。本当に心からリスペクトできる女性、それが川原綾音という人だった。



きっと……
俺が美織に出会っていなかったら、普通に惹かれて、普通に俺は彼女に恋をしたと思う。



想い、想われて
お互いを尊敬しあって
いたわりあえる
そんな幸せな付き合いができたと思う。



だけど……俺の心の中には桐谷美織というクソオンナが住んでいる。





どんなに頑張ってもどんなに努力しても、消せないアイツへの想い。



再会してからは特に、アイツを強烈に意識してしまう自分がいる。



忘れたいのに忘れられないオンナ
それが美織だ。





目の前で優しそうに哀しそうに微笑む、綾音。


彼女を愛せたら、どれだけ楽しい毎日を過ごせたんだろう。


どれだけ俺は幸せになれたんだろう――……