―――そして、6月になった。
もうすぐ体育祭が始まる。
「塚ちゃん、何にするー?」
「あたし玉入れとかでいいや」
「お前足遅いもんな〜」
「うっさい和田谷!」
相変わらず席は変わってなく、あたしと和田谷の仲も変わりようはなかった。
ところが…
“玉入れ”◎
“パン食い競争”◎
“借り物競争”◎
“リレー”あと1人!
「……あたし?」
全てのじゃんけんにことごとく負けたあたし。
体育委員は、ニコッと頷いた。
「むりむりっ!!あたし50メートル走9秒台だよ?」
「平気だよー」
「ファイトー」
……みんな、他人事だと思って!
「お前、足引っ張んなよ」
「は?」
和田谷は、ん、と顎で黒板を示す。
黒板には“高山、宮野、原田、中川、和田谷”と書いてあった。