俺は馬鹿だったと思う

李生がいつかふたりを隔てる境界線を飛び越えて、俺のところに来てくれるのを待っていた

俺は自惚れていたんだ


自分の気持ちを伝える勇気もなくて、ただ李生が来るのをまっていただけの弱虫だった


だから


李生は俺を選ばなかった



いや、選ばなかったんじゃない

そもそも、俺が彼女の選択肢になかったんだ


俺よりも強い男を

俺よりも賢い男を

俺よりも幸せにしてくれる男を


”片田”は好きになったんだ


俺らはなんの関係でもなかった

弱虫の俺にはお似合いの結末だったんだ



柚希はぐびぐびとまた酒を煽った


そんな自分姿が惨めに思えてくるが、酒を煽らずにはいられなかった


そして、明日の朝、重い頭とからだに後悔する
そして、明日の夜、またこうして弱虫な俺は、酒に浸るしかないんだ

だってそうだろ?


今更、会いたいのは俺だけ
今も好きなのは、俺だけ

あの頃で時が止まっているのも・・・・



・・・・・俺だけなんだ