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「俺は、片田と結婚したいと思ってる」
柚希は、匠の前に腰かけると何の前触れもなくそう言った
言いたいことはたくさんある、だが一番言いたいことを逃してしまうのは嫌だと思った
昔、志紀先輩と李生を巡って色々あった時も、はっきり最初から「好きだ」と言えば良かったんだと何度後悔したかわからない
だから、もう同じ後悔はしたくない
「っ、・・・」
匠は驚いた顔で、言葉を失った
人は、予想以上の答えを聞いたとき、瞬時に反応するのは難しいのかもしれない
ただ、柚希の目をじっと見据えて、頭の中で言う言葉を駆け巡らせている様子だ
「匠、俺、お前に協力できないって言ったよな。だから、もしお前が片田に会うために来たのなら、それはできない」
「・・・んでだよ!!」
ようやく匠は言葉を発した
それは震えて掠れた声だった
「お前は片田を傷つけたし、お前の周りも彼女を傷つけた。それをわかって、お前は会いに来たのか?」
「俺はっ、俺は李生を傷つけてなんかいない!!傷つけたのは俺と李生を邪魔したい奴らだ!俺は何も悪くない!
なんでそんなこと言うんだよ!柚くんはいつも俺のことわかってくれたじゃないか、なんで急にそんなこと言うんだよ!
それに結婚ってどういうことだよ!李生に会わせないってなんで柚くんが言うんだよ!!
どうせ柚くんも母さんに何か言われてそんなこと言ってるだけなんだろ!?」
匠は息も吐かずに、言葉を並べて叫んだ
どこかまだ柚希を信じたい気持ちもあったのは確かだった