「ぁ、いいかも・・・」


男子学生は、柚希の提案に顔を明るくした
柚希自身も、彼が安心してくれた様子にホッとした


「じゃ、どの花がいいかな」


「えっと・・・」



柚希と男子学生は、アレンジのイメージをふたりで膨らませながら、大切な人のために小さな籠をできる限り華やかに飾っていった

リボンのイメージは大切な人の爽やかさを思わせる、ライムグリーンとミントブルー、ホワイトの細めの三色を彼は選んだ

リボンをカットして、半透明のビニールバッグにアレンジメントフラワーを入れてあげた


彼は、店に入ってきた時とは打って変わって、とてもにこやかにそれを受け取った


「ありがとうございました!」


男子学生が、礼を述べたので「こちらこそありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」と柚希も清々しい思いで深く頭を下げた


花屋になって、この瞬間が一番嬉しいと柚希は思う

これからその花をプレゼントしようとしている客の高揚感が手に取るようにわかるし、そのプレゼントを喜んでくれる貰い主のことを想像するだけで、自分が誰かの役に立てていると思えるからだ