「そうか…」


チャンス!


「じゃあ、田中さん待ってるんで、失礼します。」


「あぁ…」


よっしゃ!
そのまま忘れていてくれれば…!


背を向け、歩き出すと。

「あ、和泉澤さんの話し、終わった訳じゃないからな?」


和泉澤とはさっきの、沙織さんの苗字。



…だよなぁ……。



と思いながらも、自分の診察室に向かった。



ガラッ


「あ、白井先生お帰りなさい。」


「あぁ、ただいま。」


「で、安住川さんと遠藤さんの件…」


「あぁ、その事なんだが…さっき俺のとこに璃優が来て…。何か言いたそうだったから、聞こうと思ったんだけど、父さんいたから、璃優が言い出せなかったみたいなんだ。
だから、"あとでいくな!"って言ったから、ちょっと話し聞いてくる。」