「昔は防犯のために、わざと床鳴りがするように造ったらしゅうございます」


音にビビるわたしに、和子さんが言った。


う……そう言われても、少し怖い。

でも、ペロを見つけなきゃ


「ペロ? どこぉ?」

わたしはペロを呼びながら歩いた。


こんな時、圭吾さんがいたらな……


悟くんを信頼してないわけじゃない。

でも圭吾さんだったら、きっと、あっという間にペロを見つけてくれる。

圭吾さんがいたら何も困った事は起きなくて、心配する必要もなくて――


「ペロぉ?」


廊下の先からテチテチと音がして、角からペロが顔を出した。

よかった。無事だったんだ。


「ペロ! おいで!」


わたしが呼ぶと、ペロは嬉しそうにしっぽを振ったけれど、こっちに来ようとはしない。

食べる物でも持ってくればよかった。


「おいでってば!」


わたしが近付くと、ペロはまたダッと走って行ってしまった。