「諦めなよ、しづ姫」

悟くんがニヤニヤ笑う。

「滝田が『見た』って言うんだから、また人じゃないもの絡みのトラブルだろ? 手に負えなくなる前に、圭吾にも聞いてもらった方がいい」


「『また』って何よ」

強気で言ったものの、思い当たる節がないわけではない。

続く言葉が、どんどん言い訳じみていく。

「そんなにいつもトラブってない……と思うんだけど。それに、たいした事じゃないかもしれないし……」


「それは話を聞いてから決めるよ」

圭吾さんは、椅子の背にもたれるように座り直した。


あー、何か話しづらい……


何を言ったとしても、圭吾さんに怒られる事はないって分かってる。

でも、今まで黙ってたことをどう言い訳したらいいの?


「志鶴ちゃん、コーラのおかわりはいかが?」

彩名さんが優しく言った。


「いただきます」


わたしの差し出したグラスにコーラを注いだ後、彩名さんはチラッと圭吾さんを見た。


「圭吾、その顔、怖くてよ」