隣で微かな寝息が聞こえる。


僕の横で猫のように丸まりながら
いつの間にか僕に寄り添うように
眠る彼女の寝顔を見るのが好きだった。



彼女の体温を近くに感じるだけで
途方もなく幸せな気分になる。



柔らかな長い髪を
起こさないよう優しく撫でる。



『…シロ…』


呟くように彼女の名を呼んでみる。


”シロ”


彼女に何と呼べはいいか尋ねた時
彼女はそう答えた。


『…シロ?……名前?』


『そう。白色の白。』


『……シロ。……あは。
なんだか犬みたいだ。』


僕は彼女の名前を知れたことが
なんだか嬉しくて笑ってしまった。



”白”


彼女にぴったりな名前だ。



名前を呼んだせいか、
彼女が少しだけ窮屈そうに
眉間にシワをよせていた。



この細く華奢なのに
どこかすごく柔らかい彼女の身体を
思いっきり抱き締めたかった。



でも抱き締めて起こしてしまうのも
もったいない気がするし…



毎週この葛藤が
僕の幸せな時間だった。