私は人間じゃない


私は何も
見えていなかった

私に
はめこんであったのは
眼球ではなく、
ただのガラス玉だった

ガラス玉は光を受けて
輝くけれど、
私には一筋の光さえも
見えていなかった

私は生きていなかった
私を動かしていたのは
心臓ではなく、
誰かが動かさないと
回らない、
ゼンマイ式のハートだった

生まれる前から
神様に生まれることを
否定され、
殺意しか抱かなかった

私は人間ですらなかった
ガラス玉の瞳は
何も見えず、

心臓は手動の
ゼンマイ式で、

感情はキセキ的に
ちょこっと
残っていて、
殺意があった

私に感情があったことは喜ばしいけれど、
喜び、という感情が
なかったので、
それに対して
殺意を感じた