小さな声で呟いたつもりだった。


「あ、紗良ちゃん」


こんな時に限ってついてない。

気付かれてしまった。

花菜先輩は笑っていて、

李斗先輩には露骨に嫌な顔をされてしまった。

そんなに彼女との時間が大切ですか…。

胸がすごく痛くなった。


「卒業、おめでとうございます」