パサッ

思わず手にしていた、単行本を落としてしまった。

「なっ・・・」

また、クスクス笑っている。

僕の反応をみて、バカにしているのか?

大体、何しに来たんだ。


「はい。落ちたわよ。」

単行本を拾って、僕の顔を覗き込む様にして首を傾げる。

「ふざけるなっ!」

「うわっ。」

思ったより、大きな声で叫んでいた。

それにビックリしたのか、一瞬肩がビクッと振るえるのか見えた気がした。

「あ、いや…ごめん。」

あれ、なんで僕謝ってるんだろう?

そんな僕をみて、また彼女はクスクス笑っている。

本当に、よく笑うヴァンパイアだ。