そこに居たのはお父様で―――――。

「あなた。お連れしましたよ。」

「御苦労だったな。」

父は、母にはとても優しい。

今だって、手を差し伸べて父の隣の席にエスコートしてる。


「雪兎くんも、よく来てくれた。さぁ座りなさい。」

目の前には、豪華な料理がテーブルに並んでいる。


「え、あ、はい。ありがとうございます」

緊張しているのか、父を見て、身体を強張らせている雪兎。


返事をした後も、ジーッと父の事を見ていたりするので

“大丈夫”という意味を込めて、そっと背中に手を添えた。


雪兎もそれに気がついたようで、私をみてフッと笑顔を見せ

“ありがとう”と声を出さず口だけで言ってくれた。


各自、席に着くと使用人たちが赤い液体をグラスに注いでくれる。

これはもちろん、血じゃなくて赤ワイン。