「ウソツキ……優月、約束、覚えてる?」

約束―――?

「そう。あの時の約束。」

「ダメ、だよ。雪兎は…生きるんだもん。」

「ごめん。実は少し前から…手足の感覚が、無くてさ。多分、もう…」

眉を下げ、悲しそうに笑う。


そんな………私は、また雪兎を守れなかったの?


「優月は、十分守ってくれたよ。ただ、僕が弱かっただけだ。」

私の考えを察したのか、そう言ってくれる。


「そんな事、ない」

「泣かないで、優月。」

あふれ出る、透明な雫を雪兎が指で拭ってくれる。

私は、その大きくて温かい手を頬に当てた。