両手が自由になった私には

両足の鎖を外すには簡単だった。


「雪兎っ」

ベッドを下り、倒れている雪兎に駆け寄る。

「うっ……優月、にげ、ろ…」

うわごとの様に荒く息をしながら声をだす。

生きている、良かった…ココから連れ出さなきゃ。



「ココから逃げ出せるとでも、思ってるのか?」

ゆらりと立ち上がり、殴った時に口を切ったのか

口元の血を拭っている。

「あなただけは、許さない。」

雪兎をそっと横たえ、対峙する。

「掛れっ」

そういうと男たちが集まり、静瑠を庇うように囲む。

「卑怯なヤツ。」

どんなに敵が現れようと、負ける気がしないのは

始祖の血が目覚めたから?