「そう、なんですか。」

辛くて辛くてそれしか言えなかった。

二人の出会い、思い出なにもかも全て先生は、思い出せない。

辛いのは
辛いのは私以上に先生の彼女だ。


「じゃあ卒業式は??」


萌が聞く。

「でられへんと思う。自分が教師をしてた事すら思い出せないみたいやし。」


下を向き悲しそうな声で言う彼女。


返す言葉が出てこない。
「…そうですか。また来てもいいですか??」



「来てあげてください。きっと彼もなにか思い出してくれるかもしれないし。」
「はい。それでは、失礼します。」

病院を後にした。