萌は、もう一度言う


「やっさん萌合格したで。やっさんのおかげや。」

反応がない。


「やっ…さん??」


「萌ちゃんちょっといいかな??」

っと彼女に声をかけられ病室を出た。


「昨日部活で野球のネット張り替えを先生が手伝ってて上のネットを張り替えようとしたとき誤って転落しちゃって…打ち所がわるかったみたいで、今から4年前くらいの記憶が全くないみたい。だから自分が中学の教師をしていた事、萌ちゃんの担任の先生になった事、私の事まで…」


涙を流しながら話をする。

「3日前までは、高校行かん言うてる萌ちゃんの話から、やっとその気になってくれた事や、萌ちゃんと面接の練習したとか家に帰ってまで萌ちゃんの事気にしてたんよ。入試の日も彼朝ごはん喉通らん言うて食べずに仕事いったり。」


涙がでた。

自分の事をそんな風に思ってくれてたってのもあるが、自分の事も忘れられているのに、先生の事を愛しそうに話す彼女の姿を見ると胸が苦しくて…