やめてよっー!!

なんで火に油を注ぐようなこと言うのよー!!


そんなあたしの心の声は届くことはなく隼人は後ろから抱きついてくる。


「う、うそでしょっ!!」

「なんであんな普通の子がっ!!」


女の子たちから一斉に注目を浴びたと同時に非難の声が飛んでくる。


「隼人君どうして…」

泣きそうな顔をして女の子が隼人を見上げる。


「どうしても何も俺がこいつを好きだから。それ以外ないだろ」


どきっ!

演技だとわかっていてもそんな台詞言われたら…


なんか胸の奥がむずむずしてあたしはブラウスの胸もとをきゅっと掴んだ。


「隼人君…」

「嫌ー!!!」

女の子たちが悲痛の叫びを上げているのにも関わらず、隼人は「悪いな」の一言を言い残し、カウンターへと戻っていった。


まるで少女漫画のような展開だけど…


あたしは"お約束"ともいえる女の子達の非難の視線を浴びせられる。


こ、怖いいいいっ!!!


「あーあ、隼人のファンを敵に回しちゃったね」

藤堂君が横から微笑みかけてきた。