「はははっ…」
笑いがこみ上げてくる。
「…ったりめーだろ」
総理の前であんなことをしたんだ。
無力な俺は…
あんな形でしか、莉子を逃がせなかった。
俺が捕らえなきゃ、莉子は組織の誰かに捕まってしまっただろう。
非情な奴らの手に渡れば、どうなってしまうかなんてわからない。
それならいっそ…俺の手で…。
あいつを守れる道を探そうとした。
でも、莉子とユキの想いを知って、俺はあいつに莉子を託した。
それが二人を傷つけ、苦しめることになるとわかっていたのに…。
あいつらのことを考えたら、
俺の未来なんて安いもんだろう?
「全てを捨てる覚悟なんか、とっくにできてるよ」