ユキ…………


頬に触れたその手に、手を重ねる。


ユキの手はあたしの涙で濡れていた。


「りこ………」


「……ん?」


「…ありがとな…」


「うん……」


「俺は…、幸せだった…よ」


「何……弱気なこと言って!!!!」


感情が高ぶって思わず叫んでしまう。


でもユキの表情は変わらなかった。


優しい、幸せそうな笑顔のまま。


まるで世界の終わりでも見ているかのような、


そんな表情。


「……1人に、しないでよ」


肩の震えが止まらない。


握りしめる手にも、力が入らない。


「げほっ……げほ、ごめんな」


真っ白な布団を染める、血。


青ざめた顔。


「…離れたくないけど…….、無理…みたいだ」


残酷なまでに眩しい笑顔。


「うそ……」


そんなの……嘘だよ……