その瞼がゆっくりと開く。
「ユキ…………」
赤色の瞳に、涙ぐむあたしの姿が映った。
「り……こ」
あぁ…、生きてる。
その事実が胸を熱くさせる。
「良かった………」
マスターやみんなも涙ぐみながらその様子を見守っていた。
「はぁ……っ…く……」
荒い息のまま、ユキがあたしへと手を伸ばす。
その体がぐらつくのが見えた。
「ユキ、動いちゃ……‼︎」
毒が回ってしまう!
でもユキを止める前に、大きな手があたしの頬に触れた。
震えながらも、存在を確かめるように撫でられた。
「………っ」
苦しそうな表情の中に垣間見えたのは
幸せそうな、ユキの笑顔。