隼人。


何度消そうとしたって…


今日の冷たい目を、表情を…思い出してしまうの。


「…ほんとに?」


真っ赤な瞳があたしを見据える。


そこに浮かぶ不安の色。


いけないっ!


ユキの顔を見て、やっと体の震えがおさまった。


「…き」


「…」


「気になるはずないじゃんっ。暴力団だかヤクザだか知らないけど、あんな悪いことしてっ」


自分に言い聞かせる。


それだけの、調子のいい言葉。


「…じゃあ」


ユキが薄い唇を開いた。


「俺だって隼人と同じだよ」


…え。


ズキンと胸が痛む。


「俺だって…悪いことばかりしてきた人間だ。今だって…」


「だってそれは…」


加奈子さんのことがあったから。