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「最近お兄ちゃん、よく笑うようになったね」


加奈子に言われたのは、どこかで聞いたような言葉。


「そうか?」


「うん、なんかね…明るくなった」


加奈子は不思議そうに笑った。


きっとそれはマスターやあいつらのおかげ。


そう考えるのは少し恥ずかしい。だから、


「よく言われるよ」


俺はそれだけを答えた。


加奈子の体調も安定、


きちんと治療する金も稼げてる。


忙しい毎日だけど…、それだけで満足だった。


だからもう少しだけ…。


「はぁ…っあ…」


仕事から帰った瞬間力が抜けてベットに倒れこむ。


この体は本当に俺のものなのか…


苦しくて苦しくて…動けない。


もう少しでいいから持ちこたえてくれ…。


必死に願いながら仕事を続けた。