「うるせえ」


いつの間に俺の方が夢中になっていた。


「…最近、ユキはよく笑うようになったな」


「そう…?」


「うん。あんなに怖い顔してたのに今はすごく明るい顔してる」


そう言われて遠くの鏡に映る自分を見る。


…あ。


そこに映る自分は、以前のように真っ暗な表情をしていない。


横でゲームに夢中になる隼人や遼と同じ。


あいつらと俺は違うって思い続けてきたことが嘘のような…


そんな不思議な感覚。


「ほら、ゲームはそのくらいにしておやつにしよう」


キッチンから、エプロンをつけたマスターが出てくる。


鼻をくすぐる甘い匂いと、マスターの優しい表情。


それは俺の心の奥に染みわたっていった。