「じゃあさ、怪我もしてるししばらくここにいたら?」


「え…」


顔を上げると広瀬は大きく頷いた。


見ず知らずの俺に対しての言葉や笑顔とは思えない。


俺は不信感をあらわにせずにはいられなかった。


「いいよ、行く場所ないんでしょ?君の気が済むまでうちにいていいから」


「何…変なこと言って……」


「変なことも何も…うちは君みたいな子をバイトで雇ってるんだ。もちろん給料は払うし、ここの家に住んでいいから。こいつらもそうしてる奴らだ」


そう言って広瀬は、後ろにいた男達に視線を向けた。


俺とほとんど歳も変わらない。


彼らはまるで、俺のことを昔から知っているかのように優しくほほ笑んだ。


なんなんだよ、こいつらは。


それでも…、住む場所と働く場所。


その二つが手に入る。俺に選択の余地なんかなかった。



「お願いします…」


こうして、俺はここに世話になることになった。