「はぁっ…はぁ」


今すぐ逃げ出したいけど、怠い体がそれをとどめた。


「ほら、ちゃんと休まなきゃ」


小柄な少年がにこりと笑って俺に毛布を掛ける。


振り払いたいのに、その手も自由に動かない。


「……誰…だよ。あんたら…」


にらみつける俺に嫌な顔をするどころか男は優しく微笑む。


「あぁ、紹介が遅れたね、俺は広瀬高明。俺達はCafe Parisの従業員だよ」


「…はぁ…」


Cafe Paris…

聞いたこともない。


この街に来たこともないんだから、当然だろう。


「君、そこの公園で倒れてて、怪我もしてるし、すごく具合悪そうだったから連れてきたんだ」


…腕を見ると、傷には丁寧に包帯が巻かれていた。


「…別に助けなくていいのに」