顔を上げると、暗闇の中に怪しく笑う男の顔。


しかもそれは一人じゃない。


十人くらいの男が、狂気な目つきで俺を見ていた。


「あのさー、君が入ったせいで俺らの仕事減ってるんだけど」


「そうだ、下っ端のくせに№1になろうなんて生意気なんだよ」


「…別に俺はアンタ達に何かしたわけじゃ…」


バキッ!!!!


「うるせえ。口答えするなよ」


「おい、こいつやっちまうか?」


「そうだな」


社長のお気に入りも、店のトップも、入店してすぐに取ったこと。


それは先輩たちからすれば、気分のいいものじゃなかった。


バキッ…ドカン!


「…やめろ…っく…!!!」


10対1の状況で敵うはずもなく、俺はやられるままで…。


その攻撃は、先輩たちの気が済むまで続いた。


「…ふんっ、№1とかいったってたいしたことねえな」


解放されたのは、閉店してから何時間も後の話だった。


けれども、それが辛いからって辞めるわけにはいかない。


加奈子のために、俺は…働き続けなくてはならない。