背が高くて、大人っぽい顔立ちというだけで勘違いした方が悪い。
「はい、頑張ります」
何があっても守ると決めた、加奈子のために。
汚れていく自分のことなんか、気にもならなかった。
その偶然の出来事をきっかけに、俺の人生は夜の世界にのまれていったんだ。
「ねーねー、ユキヤくんってば」
「何でしょうか?」
「ミクすごく今寂しいのー」
「そんな思い、俺がさせませんよ」
ニコリと笑って抱き寄せた女から、甘ったるい香水の匂いがする。
きつい香水の香りは、母親を思い出すから嫌いだった。
「もうー、ユキヤ君大好きっ」
「俺もです」
幼いころから、一番嫌悪感を抱いてきた夜の世界。
いつの間に俺も、その世界に身を投じてしまっていた。
その時俺はまだ15歳。
とにかく、必死だった。
「今月もお前の業績はナンバーワンだ」