当時中学生だった俺には、そんな大金を稼ぐ力なんてなかった。


でも、そんな悠長なこと言ってられない…。


そう思いながら、ふらふらと夜の街をさまよい歩いていたときに、声をかけられたんだ。


「君、かっこいいね。ちょっとうちで働いてみない?」


真っ白なスーツに金髪のくわえタバコの男に、声をかけられるままについていった場所。


それはぎらぎらとした明かりに包まれた部屋。


派手に着飾った男女の姿。


お酒とたばこで溢れた危険な香り。


…それは大人の世界。


一目で危険なことはわかった。


「どう?気に入ったでしょ?」


…けれども渡された募集条件を見る限り、稼げる額も全然違う。


「はい」


「良かった~。てか君18位だよね?」


「ええ、今18になりました」


「よっしゃー、完璧だね。君ならすぐ人気者になれるよ」


そう言って男は満足気に俺の肩を叩いた。


いけないことをしているのはわかっていた。


けれども、手段を選んでいる暇は俺にはなかった。