震えが止まらないのは俺の方で…。


真っ暗な未来を見るのが、怖かったんだ。


「大丈夫だよ」


加奈子は俺の手を強く握った。


「私、絶対治るから」


「……っ」


泣き虫で甘えん坊の加奈子が、そう強く言い切るから。


「…お兄ちゃんっ…?」


俺は加奈子のことを抱きしめた。


「…俺がお前を死なせない」


悲しいなんて、そんな世界だけで終わらせたくない。


加奈子は幸せになれるって、そういう未来が欲しい。


「…守るから、絶対に」


その言葉と同時に、強く抱き寄せた肩が震える。


「お兄ちゃん…っ…わあああん」


そのまま加奈子は大声を上げて泣き出した。


怖くないはずがない…


加奈子の方が誰より不安で泣きたいはずだ。


だから俺はもっと強くならなくちゃ…


何があっても加奈子を守る。


そう誓ったんだ。



…そのために俺ができること。


満足な治療を受けさせるためには金が必要。


莫大な金をどうやって手に入れる?