手術も成功する確率はすごく低い…
そして莫大な金が必要になる。
どうしたら…
「…お兄ちゃん…?」
絶望で溢れた病室内に響いた声。
「加奈子…」
目の前の加奈子は、弱々しそうに笑った。
瞳には涙がいっぱい溜まっていて…
「お兄ちゃん……っ」
俺の姿を見た瞬間、泣きながら抱きついてきたんだ。
辛かったんだろう。
怖かったんだろう。
泣きじゃくる加奈子の頭を撫でていると…
「ごめんねっ…心配かけて…ごめんね、ごめんねっ」
…バカ野郎…
そう言いたいのに言葉にならない。
何度も謝ってくるその姿に、心がいっぱいになった。
自分のことより俺のことばかり心配しやがって。
ホントにバカだよ…。
悔しくて悲しくて…どうにもできなくて。
その夜は二人で泣いた。