走ってる間も背中から、加奈子の荒い吐息が聞こえてくる。
俺は必死に走って、やっと家に飛び込んだ。
気を失いかけている加奈子の姿を見たら、施設の先生も驚いて病院に連れて行ってくれた。
でも、全てはそれで終わらなかった。
ただの風邪じゃないと診断された加奈子は、見たこともないような大きな病院に連れて行かれて、沢山チューブや線がついた複雑な機械に繋がれていた。
そして…
「手術?」
「はい、加奈子さんは今非常に危険な状態にあります。実は…」
そこで俺に告げられた事実は、酷いものだった。
俺でも知っているような有名な病気。
余命宣告。
そして多額の手術費用。
今はベットの上で静かに眠っている加奈子の手を握って、でもどうにもできなくて。
衝撃的すぎて涙さえも出てこない。
俺はただ必死に頭を抱えた。