「はぁ…っ」


荒い息と先生の歩く靴の音だけが響く部屋。


先生はユキ君の前まで来るとしゃがみこんだ。


「黙って彼女の言うことを聞きなさい」


「…はぁっ…できるわけ…ないだ…ろ」


興奮しきっているユキ君とは対照的で先生は静かに目を閉じている。


その姿からは妙に落ち着きが感じられた。


「もう…お前が無茶する必要なんかないから」


「何…言って…」


「落ち着いて聞きなさい。さっき最後の手術が終わった。俺たちにできることは全てやったけど、それでも駄目だった。」


「……」





「君の妹は…加奈子は一時間前に亡くなったよ」