けれども服部さんは終始ずっと柔らかい表情を浮かべていた。
あたしが口ごもると微笑していた口元が緩み、そして頭を撫でられた。
「ほんと…恋に迷える子猫ちゃんはかわいいね」
「も、もう…//」
少し拗ねたあたしを見て服部さんは「こらこら、そんな怒らないの」と笑っていた。
子供扱いされてる…
1つしか歳も変わらないのに。
恋愛ビギナーだからこんなに混乱してるだけなのかな、と少し俯いた。
「でね、莉子ちゃん」
「…はい」
まだ機嫌を損ねたまま顔を上げると、服部さんにはさっきのような冗談めいた笑顔はなかった。
「そのままでいいんじゃないかな」
「え?」
そのままってどういうこと?