「あたしは…」
そう言いかけて、言葉につまづく。
「いいよ、話せる分話してみて」
頬づえをつきながら、ニコリと笑う。
優しくて、温かくて。
あたしにお兄ちゃんがいたらこんな感じなのかな。
今日はきっとあたしが悩んでいるのを見抜いてここに連れてきてくれた。
ほんとにうれしかった。
ユキ君や隼人の傷に触れるようなことは言えないけど…
それでも話せること、話してみよう。
心の中でそう決断した。
「服部さん…あの」
「ん」
「あたし、誰の気持ちも…自分の気持ちでさえもよくわからないんです」
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