「何懲りずにまた俺の莉子を口説いてんだよ」


コンッと隼人がグーで藤堂君を小突いた。


「った!!なにすんだよ」


「なにって俺の莉子に手を出す男を黙って見逃すはずないだろ」


「うわっ、隼人ケチだなー、いいじゃんそんくらい」


「よくねえよ」


「ハハッ」と隼人陽気な笑い声が響きわたる。


藤堂君もほっぺたを膨らませているけどすごく楽しそうで。


その様子を見てたらあたしも笑顔になれた。


「ってやべ!!行かなきゃ!!初日から遅刻するっ」


バタバタと藤堂君が玄関へ走っていく。


「じゃ、行ってくるね!!莉子ちゃん応援しててねっ!!」


「うん、行ってらっしゃい」


手を振ると藤堂君も笑顔で振り返してくれた。


バタンとドアが閉まった方向を隼人が感慨深げに見つめていた。


「あいつも変わったな」